本会の概要

会長挨拶

『開かれた日本計算工学会』に向けて

日本計算工学会第八代会長 大富浩一

竹内前会長の後を受けて第八代会長を仰せつかりました大富でございます。会長就任にあたりご挨拶と本学会の運営方針について一言述べたいと思います。

日本計算工学会は、1994年に日本で開催されたWCCM III (The Third World Congress on Computational Mechanics) が母体となり、初代会長である川井先生が中心となり設立されました。専門分野を越え、人類共通の諸問題、地球環境問題エネルギー開発、人工物の設計・開発・保守,新材料の開発、災害の余地と防御さらには安全性などの課題解決に関する学際的な科学技術を対象とし、機械、土木、建築、他分野の学界、解析業界、ものづくり業界が結集した従来の学会の枠を越えた横断型の稀有な学会です。世の中が多様化、複雑化する現代において、本学会は時代の推移を反映した活動をすべきまさにその時期に来ていると思います。

ご存知のように日本計算工学会はこの4月に一般社団法人として再出発しました。法人化とは個人経営のお店が株式会社になったようなものです。組織として内部だけでなく会員さらには社会に対して責任ある立場になったということです。このような時期に会長を務めることは責任を感じるとともに大いにやりがいも感じております。

本学会の大きな活動として、講演会主催、会誌発行、論文集発行があります。先日、5月に九州大学で計算工学講演会を開催しました。400名を越える参加登録者、300件を超える講演がありました。会員千名に満たない学会としては驚異的な参加数です。これは会員諸氏の専門性と本学会への愛着の深さを物語ります。また、会誌も年4回ではありますが毎回タイムリな特集記事で構成され、好評をいただいています。これは会誌を保存され、後々活用されている方々が多いことからも分かります。できれば、発行回数を増やしたいところですが、諸般の事情で困難な状況です。日本計算工学会の論文集は電子媒体で発行された日本で初めてのものです。時代を先取りし、投稿者の利便性も狙った画期的なものと思います。論文の質の高さも自他認めるところです。

一方、本学会の収入の大半は会員からの会費です。特に、60社を越える企業には特別会員になっていただいており、この会費が全会費収入の約半分になっています。個人会員の3割程度は企業の方ですので、会員収入の約6割が企業関係からの支援によるものです。2007年のサブプライムローン問題に端を発したリーマン・ショックは本学会も無縁ではなく、残念ながら特別会員の減少という結果をもたらした。しかし、これはリーマン・ショック自体が理由ではなく、リーマン・ショックという機会に、各企業が“自社にとっての日本計算工学会とは?”との問に対しての回答であったのではないでしょうか。関係者のご努力により、この現象にも歯止めが掛かりつつありますが、まだ本質的な解決には至っていません。

上記の法人化、専門性の深さ(学界)、ものづくり現場への対応(産業界)を受けて、本学会の運営方針として『開かれた日本計算工学会』=組織のオープン化+活動のオープン化を掲げたいと思います。

(1)組織のオープン化

法人化により、学会の透明化が今まで以上に要求されます。組織としての体制、規則、財政を明確にし、ホームページを通して公開、透明性を確保します。また、組織としての体力強化をネットワーク面、情報面、財政面から行います。特に会務部門として、総務委員会、広報委員会、会員委員会に加えて、従来、総務委員会に含まれていた財務関係を財務委員会として独立させます。さらに、学会組織を支える事務局体制の強化/所掌の明確化を行います。

(2)活動のオープン化

講演会主催、会誌発行、論文集発行といった現在の学会活動の柱に加えて、「ものづくりのための計算工学」を目指した活動を行います。この4つの柱により、「計算工学でものづくりを変える」道筋をつけたいと思います。ものづくりへの発信、ものづくりからの受信、ものづくり研究会(「ものづくりのための計算工学」研究会)による研究・技術面での計算工学の広がり、底上げを図るとともに、ものづくりを人的側面でバックアップする教育・資格認証制度(ひとづくり)についても着手したいと思います。これらすべてを本学会のみで行うことは困難です。海外を含めた他学協会・団体との連携により効率的かつスピーディな運営を目指します。また、上記活動の成果を順次、出版物として世に出して行きます。

上記運営方針を実行するには、会員の皆様のご理解、ご支援が不可欠です。皆様とも大いに議論し、柔軟かつ着実に運営してまいる所存です。宜しくお願い申し上げます。日本計算工学会がますます繁栄し、結果として会員の増強につなげたいと思います。

日本計算工学会第八代会長 大富浩一大富浩一
(株)東芝 研究開発センター 参事。東北大学工学研究科機械工学専攻博士課程修了(工博)。機械システム機器の開発、設計支援技術の研究・開発に従事。専門は、機械工学、機械力学、ダイナミクス系の計算工学、設計工学、音のデザイン。日本機械学会(フェロー)、日本設計工学会、日本音響学会、 ASME、Design Society会員。2006年より日本計算工学会理事、2008年より副会長、2010年より会長。

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