設立趣旨・目的
日本計算工学会の趣旨
理論と実験のギャップをうめる計算科学分野は、情報科学および計算機とその周辺関連技術の発達に支えられ、顕著な発展を遂げつつあります。
この計算科学の中でも、特に「計算力学」は、21世紀における技術革新のキーテクノロジーとして注目されており、次世代の社会的・経済的活動の基盤技術の一つとなると予想されます。
このことはアメリカのゴア元副大統領により提唱されている情報スーパーハイウエイ構想および超並列科学技術計算機システムの構築計画、更にはフランスの国立研究所INRIAの活動を見れば明らかであります。
また、今世紀の後半に経済大国になった我が国に対して世界の人々特にアジア地域の人々は、米ソの宇宙開発に続く科学技術上の貢献を期待していると言っても過言ではありません。
従って、学術研究と技術開発の両面で、世界水準にある"計算工学"の分野において我が国が産官学協力のもとで、大いなる遺産を人類の歴史に残す時期到来との認識が必要であります。
コンピュータは、産業界のみならず社会構造に一大変革をもたらし自然科学から社会、人文科学を含む学問分野の再編成を促しつつあり特に理工学教育は従来の縦割方式から横割方式への移行が避けられない状況にあります。
産業界においては、基幹産業の大手メーカーを始め中小の企業に至るまで経営改革やリエンジニアリングが進行中であり、また、" 社会人教育"あるいは"生涯教育"を推進し得る機関の必要性が強く望まれています。
このような状況のもとで、1994年8月に我が国で開催されたWCCM III (The Third World Congress on Computational Mechanics) は、"計算工学"という新しい分野が理工学の専門分野を越え国境を越えて、人類共通の諸問題、地球環境問題エネルギー開発、人工物の設計・開発・保守、新材料の開発、災害の予知と防御さらには安全性などの課題解決に資する学際的な科学技術であることを立証しました。
このような認識にもとづき、世界に例のないユニークで従来の学会の枠を越えた横型の機関を設立いたしました。
日本計算工学会の目的
本学会の目的は、先端科学技術開発の基盤手法に関する個別専門分野を越えた新しい学問体系の創生と興隆をはかることにあります。
また、会員相互間および関連学協会との交流の場を提供し、我が国の計算工学にかかわる学問および技術の向上発展に努めます。
さらに、この分野の教育の振興と研究成果の普及をはかり、広く国際活動を通してこの分野の国際的な進歩に貢献いたします。