日本計算工学会倫理綱領
平成28年3月30日理事会制定
(前文)
- 本会会員は、計算工学を通じて,理工学の専門分野を越えた科学技術開発の基盤的手法に関する新しい学問体系の創成と興隆をはかることを使命とする.また,計算工学が地球環境,エネルギー創生,人工物の設計・開発・保守,新材料の開発,災害の予知と防災・減災さらには安全性などの人類共通の課題解決に資する学際的領域であることを認識し,社会からの信頼と尊敬を得るために,以下に定める倫理綱領を遵守することを誓う.
(綱領)
- 1.社会的責任
- 会員は,計算工学分野における研究活動を通して,社会基盤の発展および豊かさの向上に貢献するという重大な責務を負っていることを認識し,それらの実現に寄与する.
- 2.公正な活動
- 会員は,研究開発などの行為において,真実に基づき,公正であることを重視し,誠実に行動する.計算・解析・実験・計測等のデータの記録保存や厳正な取扱いを徹底し,ねつ造,改ざん,盗用などの不正行為をなさず,加担しない.また科学技術に関わる問題に対して,特定の権威・組織・利益によらない中立的・客観的な立場から討議し,責任をもって結論を導き,実行する.
- 3.法令等の遵守
- 会員は,法律,その他の関係法令について,これを遵守し,社会的規範に背くことなく,常に良心に従って活動を行う.
- 4.個人情報等の保護
- 会員は,学会活動の対象を含む協力者の人権,人格を尊重し,安全,福利,個人情報の保護等に十分に配慮する.
- 5.情報の公開
- 会員は,客観的事実および他者の知的成果を尊重し,信念と良心に従って,論文および報告等による新たな知見の公表および提言を行い,広く社会での共有に努める.
- 6.知的財産権の保護
- 会員は,自らの知的財産権の保護および適切な利用を図るとともに,著作権・特許権など他人の知的財産権の保護に配慮する.
- 7.利益相反の回避
- 会員は,自らの職務において,雇用者や依頼者との利益相反の回避に努めるものとし,利益相反の恐れがある場合には,説明責任と公明性を重視して,関係者に対して重要な情報を開示する.
- 8.公平性の確保
- 会員は,人種,性別,年齢,地位,所属,思想・宗教などによって個人を差別せず,個人の人権と人格を尊重する.また,個人の自由を尊重し,公平に対応する.
- 9.自己研鑽
- 会員は,計算工学に関する専門家としての能力の向上と人格の形成に継続的に努める.自らの専門知識を,豊かで持続的に発展する社会の実現に最大限に活用することで,計算工学の専門家に対する一般市民からの信頼感の醸成とその継続的向上に努める.
- 10.人材育成・普及・啓発
- 会員は,自己の専門知識と経験を生かして,将来を担う技術者・研究者の指導・育成に努める.また得られた知的成果の解説,講演,出版などを通じて,計算工学の社会での普及・啓発に貢献する.
- 11.職務環境の整備
- 会員は,不正行為を防止する公正なる環境の整備・維持も重要な責務であることを自覚し,コミュニティおよび組織の職務・研究環境を改善する取り組みに積極的に参画する.
- 12.環境と平和への配慮
- 会員は,自らの計算工学に関する研究成果や知見が,環境にもたらす影響について十分配慮し,平和的に活用されるように努める.